そしてオタクは続く

一歩踏み出す勇気

Anime Japan 2014→UNISON SQUARE GARDEN「桜のまえ」FINAL 〜懐古と現在地と

でっかい展示会的なイベントってもう行く気なかったんですよ。同じような出演者と同じような司会者が同じような作品の同じような紹介トークを繰り広げるだけじゃないかってことでさ。
でもまぁ、Anime Japanは1,500円だしその日はZepp TokyoUNISON SQUARE GARDENあるし内田真礼ちゃん見に行くくらいイイカナって感じで、入場券とステージ観覧券は取ってた。
2週前だっけ、林原めぐみさんが出るって情報が出てから意欲が急騰した。というか、意欲が湧いてる友人たちに感化された。こういうイベントとは縁遠いどころか、もはや登場するかどうかなんてことを予想もしないような方だ。
林原めぐみさんは、「Anison Japan」のステージで90年代の声優アーティストを象徴する人物としてのゲストトークと、保志総一朗さん(こちらもまたこういうのに来ないイメージ)とキングレコードのブースで「東京Boogie night」と「Heartful Station」の合同(のような)ラジオ公開放送の2つに登場すると。どっちも見ておきたいなと、損得勘定をしっかりする前に欲求が出てきた。
「もし歌ったらとんでもないことになる」っていうのが、これは実現しなかったけど、一番大きな衝動。次に、林原めぐみさんのラジオが高校〜大学時代の自分の定番だったこともあったのかな。「見たい聞きたいリスト」にむかーしに登録して引っ掛けておいたままだったものが、思いがけず回収できそうなまたとない機会だった。事前に取ってた「ごちうさ」のステージも見たいものではあったけど、この作品や出演者は後々にも機会があるだろうということでね。


ファストチケットで入場。林原めぐみさん・保志総一朗さんの整理券を取り、「ごちうさ」に行けない代わりに16時からの内田真礼ちゃん単独のトークショーなども整理券を取り、「Anison Japan」の席を確保となった。

  • 「Anison Japan」70〜80年代トークとかDJタイムとか

ブースのスタートから見てた。司会は「リスアニ!」編集長西原さん・副編集長澄川さん・ライター冨田さん。トーク専門じゃないだけに堅く進行してくれて、情報が整理されて頭のなかに入ってきた。ロフトプラスワンとかの暗めの場所で酒を片手に見てたらこれまた楽しいだろうなって。
70〜80年代のゲストはMIQさん。ダンバインとかエルガイムとか知ってるけど、完全に古典の領域の方。富野由悠季監督との関わりとか、現在と比較して牧歌的だった当時の業界の様子とか、聞いてて楽しかった。


70〜90年代のアニメ主題歌OP映像とか、DJタイムとか。完全な古典、スパロボでお世話になってるの、再放送で見てるの、柏レイソルの応援歌になってるの、直撃してるの、などなど盛りだくさん。「ペガサス幻想」で気づけば立ち上がり半袖マンになってたw
MOGRAのUstream配信とか見てても楽しいし、アニソンのDJイベントとか行ってもたぶん楽しめるんだろうなぁ俺。好きな酒と好きな音楽があれば満足できる。
DJタイムの前くらいから、客数がどんどん増えてきてた。俺と同世代か上の人たちの間で、林原めぐみという人がどれだけの存在であるのかがわかる。俺もその為に待ってたわけだし。

気づけば背後と横にはとんでもない数の人がいて、ファストチケット様さまだなと。そしていよいよ林原めぐみさんが出てくるとなると「背筋が伸びるよね」なんてことを友人が言い、俺も猫背を直した。
林原めぐみさんが登場し、挨拶があって思ったのは懐かしい感覚。「わぁ、"本物"だ!」って気持ちで高揚したのって何年ぶりだろう。「ポッ」と上昇した体温で言えば過去最高だったと思う。ラジオで聴いてた林原めぐみが目の前で話してるってことに、想像以上に喜んでる自分がいた。ハガキ投稿をしていたどころか、熱心に聞き続けていたわけでもない。淡々とでも長い間、毎週訪れていた「日曜24時の声」が俺の血となり肉となっていたんだなとしみじみ。
そんなノスタルジーだけで数十分が終わることはなかった。俺や周りの友人・観客だけでなく、壇上の司会者がお三方とも同様に(どころか俺以上に)林原めぐみ世代だったからトークの熱が上がっていった。「スレイヤーズ」の楽曲のくだりまではまだ(それでもかなり熱くなってたけど)リスアニの編集長であり副編集長であり音楽ライターだった。一段落して冨田さんが「僕の好きな曲を聴いてもらいます」と言ったところから、3人から投げられるのが彼らの思い出話に。それを受けとめ、会場全体で共有できる「トークショーの話題」にしていった林原めぐみさんに感嘆でした。
全てが面白く、素晴らしい話ばかりで記憶の書き起こしをしたいくらいだったなぁ。中でも俺に直撃したのが、西原編集長の好きな「ラブひな」だった。俺の土台というか土壌みたいな作品だし、もちろん「サクラサク」大好きだし。そして何より、林原めぐみさんから岡崎律子さんの話が聞けた。「空から新曲が降ってこないかなぁ…って思いますね」って一言はもう。


あとは林原さんがライブのような音楽活動をしない理由を改めて本人の言葉で聞いて、それもまた貴重というか「そう言われたらなるほどな」と納得というか。だからこそ、曲を流してる時に客席を促しながら自らもマイクをあてて「Give a reason for life 届けたい」と口ずさんだこの瞬間がとても偉大なものなんだなと思う。一瞬の出来事でも感激してしまった。


一時間、濃密に話を聞き、姿を見ていた。時間を見つけて少しずつこれ書いてるんだけど、鮮やかに記憶が残ってる。終わったあとの「林原めぐみすげー、たまんねぇトークショーだった」って感覚も。

ラジオの公開放送・公開録音において、何が楽しいか。俺は「ラジオを録ってる感」なんだなっていうことに気づいた。スタートの何分か前に、ストップウォッチと紙とペンを持った女性スタッフがステージ脇にスタンバイした。あ、きっと放送作家さんだと。
放送中のこの方の表情とか、曲の間に林原めぐみさんと打ち合わせしながら紙(たぶんQシート)に書き込んでる様子とか、見てて「あーラジオ良いなぁ」などと思ったわけですよ。またラジオやりてぇなと。
直前に林原めぐみさんのトークを見て聞いて、気持ちがめちゃくちゃに高ぶってた。そうすると、ちょっとしたことで「おー、すげー」ってなるのね。保志さんの「ぱっぴー」の挨拶(これがまた穏やか爽やか)に「おー本物や」、「今日も60分、、あ、30分めぐみについて来い!」とイベントならではの間違いをしてやっちったとしつつも林原さんのいつものアレを聞いて「おー、Heartful Stationや」などなど。
放送でやったことも、ずっとこのお二人がやってきている、そして俺が以前に聞いていた、"いつものこと"だった。メール・ハガキ(イベント参加するとかできないけどニコ生で見るよとか)を読み、話し、曲をかけ、話す。その懐かしさと、何より安心感に満たされてとても幸せだった。
「ラジオの醍醐味ってなんですか?」というハガキに対して、「うちは"変わらないこと(いつもいること)"かな。20年以上、放送開始で生まれた赤ちゃんがお酒を飲めるようになるくらいやってる。『何年ぶりかに聞いたら、ぜんぜん変わってない』ってお便りをよくもらうけど、長くやってるからこそだよね」と話してて、まさにそれいま俺が感じてるやつだなーって。Heartful StationはFM FUJIでどうにか聴いてたくらいだけど、それでも何年と日常的に聴いてたからねぇ。
周囲でもたくさんのイベントをやってて騒々しいくらいのAnime Japanにおいて、とてもとても落ち着いた空気。胸いっぱいになる自分。


これ以上、もう何も要らないんじゃないかって気分になってた。あ、やばい、夕方からZepp TokyoUNISON SQUARE GARDENのライブってテンションじゃない!これ行ってもライブに入りきれないとか残念なことになりそうな予感。


朝のうちに何気なく取ったこの整理券。同じくぽにきゃんブースで取った内田真礼ちゃんの整理券と同時に取ってた。「取れそうだからもうひと回りしときましょうか」なんてことを友人と話しながら。時間をつぶせたら十分だねーってくらいで取ったこのトークショーが、この流れの俺にうまく作用してくれた。
佐藤利奈さんと金元寿子ちゃんの"程よさ"な。賑やかすぎず、でも楽しげな空気が俺に「いったんリセットやでー」って流れを作ってくれた。やー、ありがたい。この30分なかったら、ノスタルジックおじさんとしてZepp Tokyoに行ってたと思うw
ありがとうサトリナ、ありがとうひーちゃん!!『僕らはみんな河合荘』見るよ!!!


サトリナとひーちゃんのおかげで、普通にブヒるテンションを取り戻していたよ。
RGBステージより近い位置で見られたわけで、『ごちうさ』と取っ替えたのはそれはそれでアリだなと。そして内田真礼ちゃんメインで内田真礼ちゃんが話していくわけだから、ひたすらに見とれてた。
やれ、「撮られるのが好き」とか「もっと見られたい」とか、もうたくさんの材料をいただきましたね。いただきます、ごちそうさま(^q^)
創傷イノセンス』のMV(初めて聴くけどなかなかゴリっとくるねイイネ)を流してる間、客の反応を気にしてこちらをうかがう表情がね、またね、たまらんですばい。
リリースイベントに必死になるかどうしようかなぁ、内田真礼ちゃん見たい見たい見たい。




かなりいい感じにテンションが上がって前へ前へグイグイきたところで、Zepp Tokyoへ移動。さぁ、ぶち上がりに行こう。


金沢で得た「自由な発想で」という感覚を体現する2日間の2日目。1日目は周囲の環境をとことん利用してぐっちゃぐちゃになった。さて2日目。
前半はちょっと狭いエリアに入っちゃった。まぁそれはそれで、狭いなりに(っても金沢みたいにくっついてるわけじゃないし)ガツガツ動く。
ステージを見ながら、音に合わせて決まりがあるようであんまりない感じで本能のおもむくままに。どうやら左脳の片隅ではお昼の林原めぐみさんステージのことを処理しているらしく、ところどころで「アニメの仕事が基本で…」って話が脳裏をよぎる。それでも音に合わせて頭を振る。「ハモるの良いよ」って話を開演前にしてたので、時折コーラスを下にとってハモってみる。そんな同時処理をしている自分を、俯瞰して面白がってる自分がいる。今日はなんか凄いことになってる。
ステージの下手の方を見ると、どうやら田淵智也も俺と同じような動きをしている。俺は田淵智也の真似をしているのだろうか?逆はありえないとして、俺自身も真似してやれと思って動いているつもりはないんだけどな。ここんところよく映像でで田淵智也を見ていたってのはあるけれども。もしかすっと、聞いた音に対して同じようにリアクションしていってるのかね。
前半は脳が大忙しである。遠くてちょっと冷静になってる部分あるし「人間の脳は2つのことを同時に処理できる(代ゼミ数学の荻野暢也先生)」ってのはホントだねという感じで別のことに思考が飛んでいくし。


前半が終わり、貴雄のドラムソロが始まった時に「前に行きたい!」って衝動が走りだした。扉を出て前の扉から入りなおして前の方へ。かなりのホットゾーンなんだけど、1日目とは違う空気。1日目は円陣くんでみんなでぶつかりあってアヘアヘしようってゾーンにいたけど、今度は互いのスペースはそれなりに確保しあって各々で動きたいように動けば良いよねってノリ。こっちも大好物である。さっきより明らかに広いし周りの熱もあててきてくれる。
「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」からこのゾーン。いよいよ本能を解き放て!みたいな感じになってた。あ、ちゃんと「東の空から夜な夜なドライブ!!」って叫んでましたよ。
こっからは「うへー、楽しィィィィィィ」以外になんも考えてなかった。何やってたかってあんまり覚えてないな。別に記憶に留めておくようなことでもなくて、その場その場で自由な発想でいけばいいんだなーって。



アンコール最後の『crazy birthday』一つをとっても、金沢と東京1日目と2日目とで全然ちがった。自分の感じ方も、アウトプットも、周囲の空気も、どれも違った。そしてそのどれもがとてつもなく楽しく、どんな状況でもステージ上のUNISON SQUARE GARDENはクソかっこいいという。
あぁ、これだと。
金沢に行く前からずっっっと懸案事項にしていた「田淵智也問題」はここに収束したなと。いまの俺がいちばん楽しくなる方法論、と言っても「演者から目一杯インプットして、ご自由にアウトプットどうぞ」って単純なもの、に確信を持った。これでいこう、行けるところまで行ってそこで人生を終えようと思う。


終演後は、この一日をまとめてUNISON SQUARE GARDENへ一緒に行った友人に話しまくりつつ肉を食いまくり呑んだ。朝からずいぶんとエネルギーを使ったからいくら食っても食えるみたいな状態だったな、また食いに行きましょう。





古典とも言える70年代80年代のアニソンに触れ、かつての日常に寄り添っていた林原めぐみさんと出会って胸が一杯になり、現在地であるUNISON SQUARE GARDENで本能を解き放った。
一日でこんだけ違ったことを濃密にやればね、そりゃ翌日は日中ずっと寝てますよね。たぶん、2014年でいちばん良い日だった。