そしてオタクは続く

一歩踏み出す勇気

"今"を掴み続けた結果と、"今"を掴み続けていく先に〜 PIERROT DICTATORS CIRCUS FINAL

アルタ前で復活が発表されてから半年。今年に頻発している「思い出回収シリーズ」の最後にして最大のライブだった。
姉の影響で聴くようになってから、中高生の間はめっちゃ聴いた。「君と僕」で作り上げられた世界観(アルバム『FINALE』『PRIVATE ENEMY』『HEAVEN 〜THE CUSTOMIZED LANDSCAPE〜』のあたり)に魅入られた。
ラジオ『BRAINSTORM』で炸裂したキリトの屁理屈とオモロもあり、多面的にPIERROTが俺の人格形成に影響を与えたと思う。内へ内へ入って、自分に問いかけて語りたがる。


PIERROTのライブには行ったことがなかった。中高生の間はライブになかなか行ける環境ではなく、少ないチャンスは全て中3の時に現れた水樹奈々が持って行っていた。そろそろ行けるかもなって歳になったら解散していて、機を逸した。


絶対にもうないだろうと思っていたPIERROTのライブに参加できる喜び、高揚感、そして緊張感。
曲を覚えているか、振りを覚えることはできるか、何より未経験の現場の空気に入っていけるのか。そして何かしらのズレが出てきた時に、この貴重な貴重なライブの間にリカバリーできるのか。いろいろ考えるとどうしよううううううう!!って不安もよぎった。
でも、そんな不安は杞憂に終わった。ひと通り聴き直したら当時の気持ちと共にPIERROTの音楽が頭に蘇ってきたし、振りはこの復活ライブに向けてまとめてくれたブログを読んで解決できた。ライブへの入り方も、この10年近くオタクやってきたことで身体と心が自然と仕上げていってくれてた。


「感慨深いとか、そういうのやってないんで」と言ったキリト。度々MCで「今」という言葉を発していた。
あの頃に帰る為にPIERROTの5人が集まったんじゃないと。それぞれがそれぞれの道で「今」を精一杯生きてきた結果として、PIERROTとして再び交わることになったんだと言いたかったんだと思う。
そして2日目の最後、「僕たちは、大切な"今"に帰ります」と言った。
これはステージ上の5人だけじゃなく、客席の俺らについても表現された言葉なんじゃないかなと思う。
少なくとも俺は解散してからの8年間、「PIERROTに帰って来て欲しい」という想いをずっと抱えたまま生きてきたわけじゃない。たまに思い出しながらも、その時その時で行きたいライブに行って、聴きたい音楽を聴いて、応援したいと思った人を応援していった。そうしていろいろな経験をして、それらが2014年10月24日と25日に集まって発揮されて、PIERROTのライブ初参加を楽しめたと思う。楽しめたし、心に深く刻み込めた。


そして、今後またPIERROTがあるのかどうかについては、キリトらしいPIERROTらしい言葉をもらえた。
「『また、必ず』と約束することはできない。でも『もうこれで終わり』と言うつもりもない。デビューからワガママを貫いてきたのがPIERROTというバンドだから。だから、またやりたくなった時にやる」
これからも「今」を生き続けて、その先にもしかしたらまたPIERROTがあるのかもしれない。ないかもしれない。いずれにせよ、大事なのは「今」を大事に生きることなのだと。そういうことなんだと理解した。
やはり、キリトの言葉は俺に強く強く突き刺さる。俺は俺の「今」を力いっぱい楽しんでいこうと思った。
またPIERROTと会える日がくると良いなと思った「今」の俺の気持ちを、片隅に、でもしっかりと、引っ掛けておこう。


だけど僕はこうしてまた朝を迎えている
君が腕を無理やりほどいた
胸の傷はもう二度と消えはしないだろう
この痛みが何度でも僕を明日へ突き放す