そしてオタクは続く

一歩踏み出す勇気

せーので飛び越えよう ― nano.RIPE「ルミナナリー」渋谷WWW(10/23)

「歌は感情の発露」とはよく言われていることで…という出だしで書きたくてたまらない、nano.RIPEのワンマンライブ。
ベースのアベノブユキさんとドラムの青山友樹さんが年内で脱退すると聞いて、最後にもう一回は見ておきたいということでチケットを確保した。そしてアルバム『スペースエコー』がリリースされ、4日間聴き込んで臨んだ。

アルバムがリリースされた週の土日にツアー初日というのは、気持ちはかなりきれいに入れるけど”曲のインプット”の面ではかなり厳しい。全曲を聞くことはできても、自分の中にしっかりと落とし込むのはなかなかできない。
そんなわけで、一周目で特に印象的だった『日付変更線』と『イタチ』を重点的に聴いて歌詞を読んで臨んだ。
曲調は静と動で対称的だけど、見えてくる世界は同じように感じた。「程よく病む(ライブ中のきみコさん談)」イメージ。こういうnano.RIPEが大好きだ。

そして、まるでnano.RIPEのライブに合わせるかのようにして、俺自身が闇を抱えていったのもまた一興だった。
なんなんだろうね、順調な立ち上げから一転。” #ふぁっきんsnow”を引き金に、そこに至るまでに積もった閉塞感と面倒くささが弾けた状態だった。
まぁ、nano.RIPEのライブ前としては理想的に病めたわけだw

直前の購入だったから入場は最後の方。ビールを飲んでフロアへ。
渋谷WWWは何段かのフロアになっているので、各ゾーンに意図を持って立てる。見やすさを求めて早い番号でも後ろ(上)に行く人もいるおかげで、最前ゾーンに余裕があって入り込むことが出来た。


割とセットリストの話を奔放にしていく。




開演。過去のnano.RIPEでは、きみコさんの表情を見ることありきでポジショニングしたけど、今回はベースとドラムをまずは中心に。ちょっと上手寄り。
『ルミナリー』で、アベさんの笑顔と友樹くんの真剣そのものな表情の対比とか、『なないろびより』あたりで友樹くんが穏やかになったのとか、あまり見ないところ見ておぉと感心。
「友樹くん」って呼びたくなるような、そんな細くて優しげな人が熱を帯びて叩くドラム。熱が、感情が伝わってくる、nano.RIPEらしさを感じた。
アベさんとはコーラスで仲良く歌った。俺は下めに取りたいから、アベさんとメインボーカルのきみコさんと合わせて和になれたらいいななどと思いながら。

重視していた2曲のうち、『日付変更線』が序盤にやってきた。
まだまだ深い奥底に境地があるんだろう、もっともっと進んで行きたいと思った。ただ、このライブで潜り込めたようにも思う。
自分の感覚・感情に問いかけ続けて、寄り添ってくれる曲。

軸足はぼくに預けて 右 左 未来 過去 今
よそ見ならしたいだけしてよ ぐるっと巡り巡ってゼロだ

引用していったらキリがない、まるごとのメッセージがとても好き。


中盤までは割とバラードが多くて、きみコさん自身も「ちょっと焦らしてる」とも言ってた。
土曜と日曜でも曲の入れ替えが多めだったようで(調べてないけど)、行った日曜がかなり俺の好きな曲たちだったので、とても良いタイミングで行けたなと。
後半はめっちゃ激しく。山場として『イタチ』が投入されて、音と渦の中でも「変わりたい?変われない?そんなことはないのか?」で頭抱えながら「ぼくはどっちだろう」ってなって思考の迷路であわあわしてそんなのが最高に楽しくオタクしてるなって。
これよ、nano.RIPEは一緒に病むライブよ。きみコさんも言ってたよ、「病んでる私の曲に共感してくれた皆も少なからず何か抱えているんでしょ?」的なことを。あぁその通りだよしょうもないことで拗らせてるさ!

『リアルワールド』に入るときの「お待たせしました、クソみたいな現実をふっとばす時間です!」って煽られて、嬉々としてタオルぶん回して、もみくちゃになりながら俺なのか誰かのなのかタオルが当たって、現実じゃなくてコンタクトレンズがふっ飛んで、でもそんなの別にどうでもいいやー!!ってなってタオルぶん回して叫び続けた。
この曲に限ったことじゃないんだけど、nano.RIPEのライブは客の志向がシンプルでやりやすい。前にいる人ならある程度もみくちゃになるのは織り込み済みだし、そこで過剰に前に割ろうって感じでもないし。
あぁそうか、みんな良い感じに病んでるからリズムも合うのかなw

その後、『ツマビクヒトリ』でガンガンにぶち上がって、『こたえあわせ』で今の課題の突破口というか「そんな問題じゃないじゃん」ってところがわかって、『ハロー』で涙が止まらなくて、『影踏み』で大団円と。
めちゃくちゃ楽しかったし、めちゃくちゃ揺さぶられた。揺さぶってくれた。nano.RIPE、きみコさん必要だわ俺には。


12月25日にもう一回、この4人で東京でやってくれると。絶対に行こう。
そしてこのツアーをもう一回、博多に行こうかどうか積極的に検討するとしよう。

今日が昨日に変わるときにつなぐのは指ではないと知れば
どんな夜もぼくらを離せないから見えない線をイメージして
せーので今飛び越えよう